【簿記3級童話】もしシンデレラが帳簿をつけていたら?〜ガラスの靴は固定資産?〜
2025年5月20日 に公開
【簿記3級童話】
もしシンデレラが帳簿をつけていたら?〜ガラスの靴は固定資産?〜
むかしむかし、ある国にシンデレラという名のまじめな女性がいました。
掃除・洗濯・料理はプロ級。だけど彼女が毎晩ひとりで開いていたのは――帳簿でした。
義母と義姉たちに押しつけられる家事の合間をぬって、こつこつ帳簿をつける毎日。
夢は「しあわせレシピカフェ」を開くこと。
いつか自分の手でお客様を迎えられるその日に向けて、彼女は費用と資産を見つめていました。
【ある日届いた舞踏会の招待状】
ある日、王子が花嫁を探す舞踏会を開くというおふれが国中に届きました。
義姉たちは大騒ぎで、装飾やドレス、香水を買い漁ります。
「こんなに買ってどうするのかしら…帳簿で見たら全部“消耗品費”ね」
→ 借:消耗品費 30,000/貸:現金 30,000
シンデレラは古いドレスを縫い直しながらつぶやきます。
「夢に近づくには、“お金の使い方”を知ることが大切よね…」
【魔法と、帳簿のチャンス】
その夜、台所に現れたのは魔法使い。
「あなたにもチャンスをあげましょう。舞踏会に行くのよ」
差し出されたのはカボチャの馬車、ネズミの従者、輝くドレス、そしてガラスの靴。
シンデレラはうっとりしながら、ふと思います。
「これ…無償だけど価値があるわね。帳簿に記録すべきだわ」
→ 借:接待交際費 50,000/貸:未払金 50,000(形式上)
「魔法でも、社交のための支出なら交際費扱いでいいはず…きっと」
【舞踏会と消えたガラスの靴】
舞踏会では、王子が彼女に一目惚れ。
シンデレラは笑いながらもどこか冷静でした。
「今の自分、たぶん“原価以上に評価されてる”わね…ふふ」
でも、12時の鐘が鳴り響き、魔法は解けはじめます。
ドレスが消え、馬車がカボチャに戻る中、彼女は階段を駆け下ります。
その足元には、片方のガラスの靴が残されていました。
【ガラスの靴は資産?】
「あの靴…私のものだったのかしら?」
「所有してない。購入もしてない。しかも、もう履けないかもしれない――」
「…帳簿に載せちゃ、ダメよね。資産じゃないわ。残念だけど」
【王子との再会と“仕訳できない奇跡”】
数日後、王子が全国を巡り、ガラスの靴の持ち主を探します。
そしてついに、彼はシンデレラの元へ。
「この靴がぴったり合うのは…あなたしかいない」
「たったひとつの靴が、人生の資産に変わるなんて――」
帳簿には載らないけれど、心にはしっかり記録された出来事でした。
【夢の開業、そして帳簿のある日常】
結婚後、王宮の協力を得て、シンデレラは「しあわせレシピカフェ」を開業。
お菓子の材料から食器の仕入、開業準備費まで、帳簿にきちんと記録していきます。
→ 借:普通預金 100,000/貸:雑収入 100,000
「補助金も…“ただの魔法”じゃなくて、ちゃんと収益。記録しておかなくちゃ」
【仕訳で振り返る魔法の夜】
項目 | 勘定科目 | 金額 | メモ |
---|---|---|---|
魔法の衣装・馬車 | 接待交際費 | 50,000 | 一時使用の社交目的、仮の処理 |
義姉のドレス | 消耗品費 | 30,000 | 自費で購入、単なる支出 |
ガラスの靴 | (処理なし) | - | 所有・取得なし |
開業支援金 | 雑収入 | 100,000 | 受取補助金 |
【エピローグ】
🐱ミーヤ:「シンデレラさんって、帳簿つけるのも王子と出会うのも天才だね〜」
🐧ペンリー:「いや、“ガラスの靴=資産じゃない”って判断、かなり冷静ですよ」
🐻こぐまさん:「魔法にも動じないその仕訳力…こぐま商会に来てほしいくらいだよ…」
夢は記録できなくても、行動は帳簿に残る。
それが、未来につながる“本当の資産”なのかもしれません。
📝 仕訳クイズ
Q:こぐま商会では、社交イベントに参加するため、1日限りの衣装を15,000円でレンタルし、現金で支払いました。仕訳は?
- A. 借:備品 15,000/貸:現金 15,000
- B. 借:消耗品費 15,000/貸:現金 15,000
- C. 借:接待交際費 15,000/貸:現金 15,000
正解:C
→ 外部向け社交イベント=接待交際費!
【まとめ】
- 魔法で得た物も、帳簿では“価値ある費用”として扱えることがある
- 資産になるには、「所有」「継続使用」「取得の事実」が必要
- 仕訳は現実を見る力。夢を支える“数字の記録”こそが、シンデレラの真の武器だった
こぐま商会のまじめでやさしい店主。経理はまだ勉強中。