【簿記3級童話】ヘンゼルとグレーテルの在庫評価損〜お菓子の家の価値、下がってます〜
2025年5月20日 に公開
【簿記3級童話】
ヘンゼルとグレーテルの在庫評価損〜お菓子の家の価値、下がってます〜
むかしむかし、深い森にふたりの兄妹がいました。
名は、ヘンゼルとグレーテル。
ある日、彼らは森の奥でチョコレートでできた家にたどり着きます。
グレーテル:「わあ、食べられる家よ!夢みたい!」
ヘンゼル:「…いや待って、これって在庫管理どうなってるんだろう…」
彼らが出会ったのは、ただのお菓子の家ではありませんでした。
――**在庫リスクを抱えた“不動産型スイーツ資産”**だったのです。
【第1章:お菓子の家、発見と在庫の現実】
屋根は飴細工、壁はチョコレート、柱はビスケット。
一見夢のようなこの家、材料費と人件費で総コストは500,000円相当。
でも…
グレーテル:「え?これ、なんか湿気てない?」
ヘンゼル:「苔も生えてる…。ああ…これは評価損の予感…」
周囲の状況や劣化により、今この家を売ってもせいぜい200,000円。
→ 棚卸資産の評価損を認識!
(借)商品評価損 300,000 /(貸)棚卸資産 300,000
ヘンゼル:「原価より時価が下がった分は、帳簿から引かないと…」
【第2章:パンくず作戦、失敗】
ふたりは帰り道がわからなくならないように、持っていた**パンくず在庫(5個)**を道に置いていきます。
が、森の鳥たちが美味しくいただいてしまいました。
グレーテル:「え〜!パンくず在庫、全滅!?」
ヘンゼル:「これは…鳥による“廃棄損失”ですね…」
→ パンくずの紛失は“雑損失”として処理
→ 勘定科目は「消耗品費」から減らすのが適切
(借)雑損失 500 /(貸)消耗品費 500
【第3章:屋根チョコをつまみ食い】
道に迷い、空腹になったふたり。
屋根のチョコレート部分(原価50,000円)をちょっとだけ食べてしまいます。
ヘンゼル:「これは…福利厚生費扱いでいけるのでは?」
グレーテル:「どの口が言ってるのよ!」
→ 自社在庫を“内部で使用した”扱いにして費用化
(借)福利厚生費 50,000 /(貸)棚卸資産 50,000
【第4章:魔女と戦い、そして火災】
その後、ふたりはお菓子の家の主=魔女に捕らえられます。
魔女:「おまえたち、うちの商品に手を出したね?」
脱出劇の末、もみ合いになり、家がまさかの全焼。
グレーテル:「…この損失、どう仕訳すれば…?」
ヘンゼル:「火災損失…ですね」
→ 評価後残高(帳簿上200,000→評価損引後は残100,000)を火災損失に計上
(借)火災損失 150,000 /(貸)棚卸資産 150,000
グレーテル:「もう残高ゼロ…。甘くなかったわ…」
【ヘンゼルPL(簡易版)】
勘定科目 | 金額(円) |
---|---|
商品評価損 | ▲300,000 |
雑損失(パンくず) | ▲500 |
福利厚生費(つまみ食い) | ▲50,000 |
火災損失 | ▲150,000 |
期末在庫残高 | 0円 |
当期純損失 | ▲500,500 |
【エピローグ】
🐱ミーヤ:「お菓子の家って、ロマンあるのに…評価損で大損だよね〜」
🐧ペンリー:「棚卸資産って、“持ってるだけで安心”じゃないんです」
🐻こぐまさん:「うちも売れ残りが出たら、ちゃんと“評価”しよう…っと」
まとめ:在庫は夢だけど、価値は現実。
劣化・虫害・火災――甘いだけじゃない、お菓子の家。
在庫の怖さを教えてくれたのは、ヘンゼルとグレーテルだったのかもしれません。
こぐま商会のまじめでやさしい店主。経理はまだ勉強中。