【簿記童話】ジャックと豆の木と、売掛金のはなし〜ツケ払いのリスク管理〜
2025年5月23日 に公開
【簿記童話】
ジャックと豆の木と、売掛金のはなし〜ツケ払いのリスク管理〜
むかしむかし、山のふもとに、ジャックという元気な男の子とお母さんが住んでいました。
ある日、お金に困ったジャックは、飼っていた牛を市場に売りに行くことにします。
ところが──
「坊や、この魔法の豆と交換してくれないかい?」
ひょろ長い帽子をかぶった男が、そう声をかけてきました。
豆なんかじゃお金にならないとジャックは思ったけれど、なぜかその豆がとても気になって……
■ 魔法の豆、そして巨人の城へ!
家に戻ったジャックは、豆を土に植えてお母さんに怒られました。
でも次の日、空に向かって伸びる大きな豆の木が生えていたのです!
「これはきっと、ビジネスチャンスだ!」
ジャックははしごを使って豆の木を登り、雲の上の世界へ。
そこには、金の卵を産むガチョウや、魔法のハープを持つ巨人が住んでいました。
ジャックは一計を案じ、こう言いました。
「巨人さん、こっちの世界で“金の卵”を売りましょう!僕が販売して、代金はあとで払います!」
■ 売掛金の誕生
こっそり盗まず、正々堂々と“仕入れ”の契約を交わしたジャック。
巨人は信じて金の卵を1個、ジャックに託しました。代金は1週間後の支払い、つまり「ツケ払い」です。
さて、このときジャックがつけた仕訳はこうです:
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 10,000 | 売掛金 | 10,000 |
📌 ジャックは金の卵を「仕入」として計上し、代金は後払いなので「売掛金」としました。
■ 巨人の不安と、リスク管理
しかし、巨人の奥さんは心配そう。
「本当に1週間後にお金、払ってくれるのかしら……?」
巨人は言いました。
「もしものために、ジャックの村の“こぐま商会”に保証人になってもらおう」
ということで、こぐまさんの元に話がやってきます。
■ こぐま商会、リスクをチェック!
こぐまさんはジャックの信用調査をしました。
- ✅ こぐま商会での過去の取引履歴:あり
- ✅ 延滞歴:なし
- ✅ 最近、豆の木観光ビジネスも開始
「……ふむ、短期的な資金繰りには不安があるけど、巨人さんとの信頼関係は厚い。保証してもいいかもしれないね」
■ 売上と回収のタイミング
1週間後、ジャックは村人に金の卵を1個15,000円で売り、現金を受け取りました。
仕訳はこうなります:
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 15,000 | 売掛金 | 10,000 |
売上 | 5,000 |
📌 売掛金10,000円を回収しつつ、差額5,000円の利益が出ています!
■ 学びの整理:売掛金ってなに?
ポイント | 内容 |
---|---|
売掛金とは? | 商品やサービスを提供したけど、代金はまだもらっていないときに使う「資産」の勘定科目 |
なぜ資産? | 将来、お金として入ってくる予定だから |
注意点 | 相手が払わなかった場合に備えて、リスク管理(保証・与信など)が必要 |
よくある仕訳 | 売上時:売掛金 / 売上、<br>回収時:現金 / 売掛金 |
■ 仕訳クイズ:あなたならどうする?
Q1. ジャックは魔法の豆を5,000円で“売掛け”で売りました。仕訳は?
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
[ ] | 5,000 | [ ] | 5,000 |
Q2. 3日後、村人が現金で支払ってくれました。仕訳は?
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
[ ] | 5,000 | [ ] | 5,000 |
答えは……【エピローグ】へ!
【エピローグ】
🐻こぐまさん:「というわけで、“売掛金”は“まだ回収してないけど入ってくるお金”なんだね」
🦊フォクシー理事:「うむ、貸倒れのリスクには気をつけないといけないが、与信管理ができれば立派なビジネス資産さ」
🐧ペンリー:「仕訳クイズの答え、確認しておこうか」
✅ クイズ答え
Q1
借方:売掛金 / 貸方:売上
Q2
借方:現金 / 貸方:売掛金
まとめ
- 売掛金は「後払い」で生じる“将来入ってくるお金”として、資産に計上される
- 売掛金が多いときは「ちゃんと回収できるか」を見極める与信管理が大事
- ジャックも巨人も、正しい帳簿と信頼で“安心取引”を実現!
みなさんも「ツケ払い」には気をつけながら、楽しく簿記を学んでいきましょう🌱
こぐま商会のまじめでやさしい店主。経理はまだ勉強中。