日商簿記2級 · 商業簿記 · 6 / 7
純資産・株式発行・剰余金
このページの目標:株式発行時の資本金・資本準備金と、利益配当時の利益準備金を計算できる。
2026年度向け(2027年3月まで) · 2027年度の変更点
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まずは身近な場面から
こぐま商会は、株主から事業に使うお金を出してもらいました。商品が売れた代金とは、お金が増えた理由が違います。

こぐまさん入ってきたお金は、全部売上にすればいい?

ペンリー株主が出してくれたお金は、会社の元手だよ。商売でもうけた利益や、その利益を株主に配ることとも分けて記録しよう。
この場面で使う言葉
- 払込額(はらいこみがく)
- 株式を発行して、株主から受け入れた金額。
- 資本金・資本準備金
- 株主から受け入れた元手の内訳。どこまで資本金にするかは問題の指定を確認する。
- 繰越利益剰余金・利益準備金
- 前者は会社に蓄積した利益。後者は利益配当などの際に、定められた額を利益から振り替えておく項目。
具体例で数字を追いかける
株式の払込額1,000,000円を当座預金に受け入れ、会社法の認める最低額を資本金にします。
なぜ、この計算になるの?
- 受け入れた1,000,000円は全額が会社の元手です。この例は『認められる最低額を資本金にする』指定なので、半分の500,000円を資本金にします。
- 残り500,000円は資本準備金です。二つを足すと受け入れた預金1,000,000円と一致し、売上には入りません。
| 区分 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 資本金 | 1,000,000×1/2 | 500,000円 |
| 資本準備金 | 1,000,000−500,000 | 500,000円 |
受け入れた預金1,000,000円に対し、純資産の内訳を二つに分けます。
| 借方科目 | 金額(円) | 貸方科目 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 1,000,000 | 資本金 | 500,000 |
| — | — | 資本準備金 | 500,000 |
解き方と処理のルールを整理しよう
配当と準備金への振替を分け、積立限度の残りと配当額の10分の1を比べる。
株式発行で受け入れた払込額は、売上ではなく株主からの出資です。問題文に原則どおりとあれば全額を資本金にし、会社法の認める最低額を資本金にする指定があれば、払込額の2分の1を資本金、残りを資本準備金とします。
繰越利益剰余金を原資とする現金配当は、費用ではなく利益の分配です。準備金への積立額は、配当額の10分の1と、資本金の4分の1から資本準備金・利益準備金の合計を引いた不足額のうち、小さい額です。すでに準備金合計が資本金の4分の1以上なら追加の積立額は0円です。
このページでは、全額を繰越利益剰余金から配当し、分配可能額を満たす場合を扱います。その他資本剰余金も原資にする配当などは別の条件で考えます。配当と準備金積立の合計だけ繰越利益剰余金を減らし、配当決議時は未払配当金と利益準備金へ振り替えます。
配当と利益準備金の上限を確かめよう
株式発行の例とは別の会社です。資本金1,000,000円、資本準備金180,000円、利益準備金65,000円。分配可能額を満たし、繰越利益剰余金から現金配当100,000円と法定額の利益準備金積立を決議しました。まだ支払っていません。
| 確認するもの | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 配当額の10分の1 | 100,000÷10 | 10,000円 |
| 準備金合計の不足額 | 1,000,000÷4−180,000−65,000 | 5,000円 |
| 利益準備金の積立額 | 10,000と5,000の小さい額 | 5,000円 |
| 繰越利益剰余金の減少額 | 100,000+5,000 | 105,000円 |
積立額は10,000円ではなく、上限までの不足額5,000円です。現金はまだ動かず、配当額は未払配当金にします。
| 借方科目 | 金額(円) | 貸方科目 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 繰越利益剰余金 | 105,000 | 未払配当金 | 100,000 |
| — | — | 利益準備金 | 5,000 |
2問で確かめよう
解説の考え方を使って、金額や数量を求めましょう。単位を付けず、整数で入力します。
条件が変わったら、どう考える?
配当決議の後、こぐまさんは配当額と準備金を足して利益から引きました。

こぐまさんの疑問配当を決めただけなのに、現金も今すぐ減らす?

ペンリーと整理決議時は未払配当金という義務へ振り替えるよ。実際に支払う日に預金を減らすんだ。
- 1出資と利益分配を区別
- 2配当の原資を確認
- 3準備金の上限と10分の1を比較
- 4決議と支払いを分けて残高へ
配当決議後の残高まで確認する
資本金1,000,000円、資本準備金180,000円、利益準備金60,000円、繰越利益剰余金400,000円。利益から100,000円を配当し、分配可能額を満たすとします。準備金の上限まで10,000円なので、利益準備金積立額も10,000円です。
決議後は繰越利益剰余金290,000円、利益準備金70,000円、未払配当金100,000円。資本金・資本準備金は変わりません。積立自体は純資産内の振替で、配当分だけ純資産全体が減ります。
| 科目 | 決議前 | 増減 | 決議後 |
|---|---|---|---|
| 繰越利益剰余金 | 400,000 | −110,000 | 290,000 |
| 利益準備金 | 60,000 | +10,000 | 70,000 |
| 未払配当金 | 0 | +100,000 | 100,000 |
費用・出資・利益処分を混ぜない
株式を発行して集めた払込額は売上ではありません。配当も費用ではなく、利益剰余金などを原資とする分配です。損益計算書へ配当を入れないようにします。
配当の支払時は未払配当金/普通預金。決議時に既に減らした繰越利益剰余金を、支払時にもう一度減らしません。原資がその他資本剰余金を含む場合は、資本準備金の積立も別に検討します。
考え方を自分の答案にする
配当の決議を仕訳と残高にする
資本金800,000円、資本準備金150,000円、利益準備金45,000円、繰越利益剰余金300,000円。分配可能額を満たし、全額を繰越利益剰余金から80,000円配当。法定額の準備金を積み立てます。
数値は単位を付けず、0以上の整数で入力します。不要な仕訳欄は空欄にしてください。
回答は学習履歴には保存されません。未解答でも採点できます。
対象範囲の確認:日本商工会議所・2026年度適用の出題区分表。2026年10月31日確認。例題・練習問題は簿記ラボ作成の独自教材です。例題は基本処理を確かめるために条件を絞ったもので、試験の全論点を網羅するものではありません。