
【2027年度】簿記2級の出題範囲はどう変わる?新リース会計と教材の選び方

日商簿記2級は、**2027年4月1日から商業簿記の出題範囲が変わります。**中心は新しいリース会計への対応で、紙の手形に関する項目も整理されます。工業簿記・原価計算には今回の範囲改定による変更がなく、2級の配点・出題形式も変更されません。教材は「勉強を始めた年」ではなく、実際に受ける試験の年度に合わせて選びましょう。
この記事は2026年10月23日時点の日本商工会議所の出題区分表の案内、2027年度の確定版、改定項目の説明書を照合してまとめています。2025年12月公表の暫定版ではなく、2026年7月31日公表の確定版を基準にしています。
2027年度の簿記2級、まず受験日を確認しよう
こぐま商会の受験相談室。こぐまさんは、使い込んだ教材と受験予定を書いたカレンダーを並べました。
こぐまさん:「今の教材で進めたいけれど、受験が春になったら確認し直した方がいいね。」
ペンリー:「切り替えは2027年4月1日だ。1月から新しい範囲になるわけではない。」
こぐまさん:「2027年3月に受けるなら今の範囲、4月以降なら新しい範囲で準備するんだね。」
| 実際に受験する日 | 適用される区分表 | 教材で確認すること |
|---|---|---|
| 2026年4月1日~2027年3月31日 | 2022年度適用版 | 2026年度の試験範囲に対応しているか |
| 2027年4月1日~2028年3月31日 | 2027年度適用の確定版 | 新リース会計など、今回の改定に対応しているか |
この切り替えは、統一試験・ネット試験・団体試験に共通です。申込日やテキストの購入日では判定しません。例えば2027年3月に申し込み、4月にネット試験を受けるなら、2027年度の範囲を確認します。年度と適用日は公式の案内に明記されています。
【こぐまTips:簿記2級の2027年度変更点を比較】
大きな処理の変更と、既存項目の整理・明確化を分けると、学び直す場所を絞れます。
| 論点 | 2026年度までとの主な違い | 2級受験者の確認ポイント |
|---|---|---|
| リースの借手側 | 新基準に合わせ、従来のファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分を見直す | 使用権資産・リース負債を用いる処理を練習する |
| 短期リース・少額リース | 簡便的な取扱いを2級に明記 | 賃貸借として処理する問題も確認する |
| 紙の手形 | 手形関連の規定を削除 | 電子記録債権・債務まで削除されたと考えない |
| 電子記録債権・債務 | 売掛金・買掛金と同じまとまりに整理 | 出題内容自体の変更ではない。営業外の科目も確認する |
| ファクタリング | 売掛債権の譲渡であることを明確化 | 買取型の簡易な処理と、回収・送金の流れを押さえる |
| 売上原価の都度振替、固定資産の除却・廃棄、定率法 | 基本的な内容を2級から3級へ移行 | 2級の学習で不要になったと考えず、基礎として復習する |
| 普通預金・キャッシュレス決済 | 普通預金を明記し、クレジット売掛金にキャッシュレス決済を含むと補足 | すべてが新しく追加された処理という意味ではない |
| 工業簿記・原価計算 | 今回の区分表改定による変更なし | 学習を継続する |
比較には変更箇所を示した公式区分表と改定説明書を使用しています。工業簿記に変更がないことは公式の案内でも確認できます。
こぐまさん:「表の書き方が変わった項目と、仕訳を練習し直す項目があるんだね。」
ペンリー:「そう。まずはリースを重点的に見直し、残る基礎も確認しよう。」
新リース会計は2級でどこまで学ぶ?
2027年度の2級でも、リースは借手側の処理が対象です。利子込み法と利子抜き法の両方が対象で、利子抜き法での利息の期間配分は従来どおり定額法です。確定版の区分表の「第二・15.リース」と改定説明書の5~6ページを併せて確認しましょう。
| 2級で確認する内容 | 学習上の区別 |
|---|---|
| 使用権資産・リース負債の計上 | 借りた物を使う権利と、今後支払う義務を帳簿に記録する |
| リース料の支払い・利息・減価償却 | 開始時、支払時、決算時を分けて練習する |
| 短期・少額リース | 問題で指定された賃貸借処理を練習する |
| リースに該当するかの識別、期間の決定、契約変更など | 2級では条件が与えられ、識別の判断等を要しない出題と説明されている |
| 貸手側、セール・アンド・リースバック、サブリースなど | 区分表では1級の項目。2級の追加論点として広げない |
新しい基準の専門論点をすべて調べる必要はありません。2級では、与えられた条件に従い、どの科目でいくら記録するかをまず練習しましょう。
例題1:配送車を借りたときの開始・支払・決算
こぐま商会が期首に配送車のリースを開始しました。以下は仕組みを確認するための独自例題です。
- リース期間は3年、リース料は毎年末に220,000円ずつ支払う
- 利子抜き法を使い、利息相当額の総額60,000円を3年間に均等配分する
- 開始時の使用権資産とリース負債は、リース料総額から利息相当額を控除して計上する
- 使用権資産は耐用年数3年、残存価額ゼロの定額法、間接法で減価償却する
- 利息は支払時に計上し、支払いには普通預金を使う。消費税等は考慮しない
こぐまさん:「支払総額660,000円から利息60,000円を引くと、開始時は600,000円だね。」
ペンリー:「その金額で、使用権資産とリース負債を記録しよう。」
開始時の仕訳です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 使用権資産 | 600,000 | リース負債 | 600,000 |
1年目の支払時は、利息20,000円と、リース負債の返済200,000円に分けます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| リース負債 | 200,000 | 普通預金 | 220,000 |
| 支払利息 | 20,000 |
決算時の減価償却費は、600,000円 ÷ 3年 = 200,000円です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 200,000 | 使用権資産減価償却累計額 | 200,000 |
こぐまさん:「支払額220,000円を、そのまま全部費用にする仕訳ではないんだね。」
ペンリー:「この条件では、負債の返済、利息、減価償却を分けるんだ。」
使う科目は2027年度の標準・許容勘定科目表でも確認できます。勘定科目表は出題範囲を定める資料ではなく、問題文に科目の指定がある場合は、その指示を優先します。
短期リースについては、公式説明書でリース期間12か月以内、かつ購入オプションを含まないものと説明されています。少額リースは重要性などの条件があるため、単に月額が安いという理由だけで処理を決めないようにしましょう。
例題2:短期・少額リースを賃貸借として処理するとき
こぐま商会が短期で借りている事務所の当月分30,000円を、普通預金から支払いました。問題文で「短期リースとして賃貸借処理する」「支払リース料を使う」と指定されているものとします。前払い・未払いと消費税等は考慮しません。
こぐまさん:「事務所だから、3級で使った支払家賃と書きたくなるね。」
ペンリー:「2027年度の2級では、不動産の賃借を賃貸借処理する場合も支払リース料に統一される。」
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払リース料 | 30,000 | 普通預金 | 30,000 |
家賃や地代を支払う場面でも、受験する級と年度によって科目の確認が必要です。3級では引き続き支払家賃・支払地代を使うと説明されています。一方、2027年度の2級以上では、不動産の賃借も使用権資産を計上する処理と賃貸借処理の両方が対象です。改定説明書の6~7ページで、この違いを確認できます。
短期・少額の条件を金額の小ささだけで自己判断せず、例題では処理方法の指示を確認しましょう。
手形の削除とファクタリングはどう整理する?
紙の手形に関する項目の削除と、電子記録債権の継続は区別します。電子記録債権・債務は学習対象として残り、固定資産の売買などで生じる営業外電子記録債権・債務も明記されます。「手形がなくなるから債権の譲渡も勉強しない」という整理は避けましょう。変更箇所を示した区分表で位置づけを確認できます。
ファクタリングは、売掛債権を譲渡して代金を回収する取引です。今回、従来の債権譲渡の項目を明確化し、2級では買取型の簡易な出題に限ると説明されています。公式説明書の2~4ページには、2社間・3社間の仕訳例があります。
こぐまさん:「新しい名前を覚えるだけでなく、譲渡したあとの入金も確認したいね。」
ペンリー:「売掛金を消したあと、誰のためにお金を預かっているかを追ってみよう。」
例題3:売掛債権を譲渡し、その代金を預かる
こぐま商会が売掛金100,000円を2社間の買取型ファクタリングで譲渡しました。債権譲渡登記は完了しており、手数料5,000円を引いた95,000円が普通預金に入金されたものとします。買戻権・遡求義務の評価や消費税等は考慮しません。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 95,000 | 売掛金 | 100,000 |
| 売掛債権売却損 | 5,000 |
その後、得意先が支払期日に100,000円をこぐま商会の普通預金に振り込みました。売掛金は譲渡時に消しているので、ここではファクタリング会社へ渡すお金を預り金にします。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 100,000 | 預り金 | 100,000 |
ファクタリング会社へ送金したときに預り金を消します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 預り金 | 100,000 | 普通預金 | 100,000 |
こぐまさん:「譲渡後の入金を、もう一度売上にしたり、消した売掛金の回収にしたりしないんだね。」
ペンリー:「うん。譲渡、代金の受取り、送金の順に追えば整理できる。」
3級へ移る論点も、2級では復習が必要?
はい。**3級へ移行することは、2級受験者が学ばなくてよいという意味ではありません。**区分表は、特に明示がなければ同じ項目でも級が上がるにつれて程度が高くなるとしています。確定版の注記を確認しましょう。
2026年度までの3級を学んだ人は、次の内容も2級の学習の中で押さえてください。
- 商品を売るつど、売上原価を記録する方法
- 固定資産を帳簿から外す除却・廃棄の処理
- 帳簿価額に償却率を掛ける定率法の基本
3級の変更点そのものは、2027年度の簿記3級の出題範囲・配点の記事で別に整理しています。3級を以前に合格した人も、基礎の抜けを埋めながら2級へ進みましょう。
受験時期別に、教材はどこを確認する?
教材の購入判断は、表紙の西暦だけでなく、出版社・講座の対応年度と改定対応の案内を確認してからにしましょう。以下は公式の適用時期を踏まえた、簿記ラボの学習上の提案です。
| 受験予定・状況 | 教材を選ぶときの進め方 |
|---|---|
| 2027年3月31日までに受ける | 2026年度に対応する教材で学ぶ。新しい処理との混同に注意する |
| 2027年4月1日以降に受けるため、新しく買う | 2027年度の確定版への対応を確認する。商業簿記のテキストと問題集の両方を見る |
| 2026年度向け教材を持ち、受験は2027年度になる | 出版社・講座の改定対応表や補足教材を確認し、リース等の差分を補えるか判断する |
| 2027年春をまたいで学習する | 共通する基礎と工業簿記を進め、商業簿記の変更点には年度のメモを付ける |
例えば手持ちの教材には、次の項目をチェックしてみてください。
- 使用権資産・リース負債による開始時の仕訳が載っているか
- 利子込み法・利子抜き法と、減価償却まで練習できるか
- 短期・少額リース、不動産を借りたときの支払リース料を確認できるか
- 手形関連の削除と、残る電子記録債権・ファクタリングが整理されているか
こぐまさん:「買い直すかを決める前に、手持ちの教材で何を補えるか確認するよ。」
ペンリー:「その順番でいい。テキストだけでなく、問題集の科目と解答も見ておこう。」
工業簿記は今回の改定では変更がないため、学習を止める必要はありません。ただし、手持ちの教材が今回の変更以前から古い場合には、ほかの改定への対応や正誤情報も別に確認してください。
受験前に、もう少し確認しておこう
2級も配点や出題形式が変わる?
今回の発表では変更されません。2026年9月25日の公式発表は、配点変更を3級のみとし、2級の配点・出題形式は変更しないと明記しています。3級の第2問・第3問の新配点を、2級に当てはめないようにしましょう。
新しい範囲の方が難しくなる?
今回確認した公式資料だけでは、合格率が下がる、必ず難しくなるとは判断できません。自分の教材と2027年度の範囲に差があるかを確認し、その差を練習で埋めることから始めましょう。
勘定科目表に載っていれば、全部が出題範囲?
いいえ。日本商工会議所は、勘定科目表は出題範囲を明示するための資料ではないと説明しています。範囲は出題区分表、具体的な扱いは改定説明書、科目名は勘定科目表という順で照合すると整理しやすくなります。公式ページの注意事項も確認してください。
こぐま商会の仕訳確認クイズ
こぐまさん:「開始時の仕訳と、そのあとの支払いを分けられるか、もう一問やってみよう。」
ペンリー:「今度は利子込み法で、開始時だけを考えてみよう。」
2027年度の2級の処理として、リース料年額120,000円、リース期間2年の備品のリースを期首に開始しました。利子込み法を用い、リース料総額を使用権資産とリース負債に計上する指定です。開始時の支払い、付随費用、消費税等はありません。開始時の仕訳はどうなるでしょうか。
答えと確認
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 使用権資産 | 240,000 | リース負債 | 240,000 |
120,000円 × 2年 = 240,000円です。この問題では利子込み法なので、利息相当額を分けずに開始時の金額を求めます。開始時に現金の支払いがない点も確認しましょう。
受験する年度が決まれば、準備する内容も決まる
こぐまさんはカレンダーの受験予定日の横に、教材の対応年度を確かめるメモを置きました。
こぐまさん:「新しくなると聞くだけでは迷うけれど、僕が補うのはどの章か、考えられるようになったよ。」
ペンリー:「受験日と改定への対応がそろえば、今日の勉強を決めやすいね。」
- 2027年4月1日が切り替え日。ネット試験も含め、受験する年度に教材を合わせる
- 2級の商業簿記では、新リース会計の科目と処理を重点的に確認する。電子記録債権などの基礎も学習を続ける
- 工業簿記の範囲と2級の配点・出題形式は今回変更されない。改定対応の案内を確認しながら準備する
受験の全体像や試験日を確認したいときは、簿記2級の試験情報へ戻れます。受験前には公式の出題区分表ページで、その後の更新も確認しましょう。

こぐま商会のまじめでやさしい店主。経理はまだ勉強中。
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