日商簿記2級 · 工業簿記を学ぶ · 8 / 9
直接原価計算・固定費調整
このページの目標:貢献利益を求め、全部原価計算との利益差を説明できる。
2026年度向け(2027年3月まで) · 2027年度の変更点
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まずは身近な場面から
こぐま商会は、同じ工場・同じ販売数でも、製品原価に固定費を入れるかで利益が変わることを調べています。鍵は売れ残りに含める費用です。

こぐまさん同じ取引なのに、利益が違うの?

ペンリー固定製造原価を、今月すべて費用にするか、一部を在庫に残すかが違うからだよ。実際のお金の出入りが増えたわけではないね。
この場面で使う言葉
- 変動費・固定費
- この分析の範囲で、数量などに応じて総額が変わる費用と、数量が変わっても総額が一定の費用。
- 直接原価計算
- 変動製造原価だけを製品原価にし、固定製造原価は当期にまとめて費用にする方法。直接費だけを集める意味ではない。
- 全部原価計算
- 変動製造原価も固定製造原価も製品原価に含める方法。売れ残りには固定製造原価の一部も残る。
具体例で数字を追いかける
月初在庫なし。100個を生産して80個販売。1個当たり変動製造原価500円、当月固定製造原価20,000円。全部原価計算では固定費を生産数量で配賦し、仕掛品・配賦差異はありません。
なぜ、この計算になるの?
- 固定製造原価20,000円を生産100個に分けると、全部原価計算では1個200円を含めます。売れ残り20個には4,000円が残ります。
- 直接原価計算は20,000円を今月すべて費用にします。全部原価計算はそのうち4,000円を在庫に残すので、今月の費用が少なく、利益が4,000円多くなります。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 固定製造原価の配賦単価 | 20,000÷100 | 200円/個 |
| 月末製品に含まれる固定費 | (100−80)×200 | 4,000円 |
| 全部原価計算の利益−直接原価計算の利益 | 月末固定費−月初固定費 | 4,000円 |
全部原価計算の利益は4,000円大きくなります。直接原価計算では固定製造原価20,000円全額を当月費用にするためです。
解き方と処理のルールを整理しよう
貢献利益から当期固定費を引き、在庫に含む固定製造原価だけで全部原価利益へ調整する。
全部原価計算は、変動製造原価と固定製造原価を製品に集計します。直接原価計算は、変動製造原価を製品原価とし、固定製造原価を発生した期間の費用にします。販売費・一般管理費も、変動費と固定費に分けて損益を考えます。
売上高から変動費を引いた貢献利益で、固定費をどこまで回収できるかを見ます。期末在庫が増えると、全部原価計算では固定製造原価の一部が在庫に残るため、直接原価計算との利益差が生じます。
2問で確かめよう
解説の考え方を使って、金額や数量を求めましょう。単位を付けず、整数で入力します。
条件が変わったら、どう考える?
製品を多く作った月に、全部原価計算の利益だけが大きくなりました。

こぐまさんの疑問売れた数は同じなのに、どうして利益が違うの?

ペンリーと整理固定製造原価の一部が在庫に残るからだよ。直接原価計算ではその月の固定費を当月に負担する。
- 1製造費と販管費を変動・固定へ
- 2直接原価計算の貢献利益
- 3固定費を引いて営業利益
- 4期首・期末在庫の固定製造原価で調整
二つの損益計算書を並べる
単価1,000円で80個販売、100個生産。期首在庫なし、変動製造費500円/個、当月固定製造費20,000円、変動販管費100円/販売個、固定販管費5,000円とします。配賦差異・仕掛品はありません。
全部原価計算の1個原価は700円なので売上原価56,000円。直接原価計算の変動売上原価は40,000円。固定製造費20,000円を期間費用にするため、直接原価計算の利益は7,000円、全部原価計算は11,000円です。
| 項目 | 直接原価計算 | 全部原価計算 |
|---|---|---|
| 売上 | 80,000 | 80,000 |
| 売上原価 | 変動40,000 | 全部56,000 |
| 変動販管費 | 8,000 | 8,000 |
| 固定製造費(期間費用) | 20,000 | —(製品原価に含む) |
| 固定販管費 | 5,000 | 5,000 |
| 営業利益 | 7,000 | 11,000 |
固定費調整の対象を絞る
差額4,000円は、期末20個×固定製造費200円/個です。直接利益+期末在庫の固定製造原価−期首在庫の固定製造原価=全部利益となります。この例の条件では7,000+4,000−0=11,000円です。
固定販売費・一般管理費を在庫に含めて調整しません。期首在庫もある場合、前期から繰り越した固定製造原価が当期に費用化する分も確認します。
考え方を自分の答案にする
二つの利益を固定費調整でつなぐ
売上600,000円、販売分の変動製造原価240,000円、変動販管費60,000円、当月固定製造費100,000円、固定販管費40,000円。期首在庫に含まれる固定製造原価10,000円、期末在庫分30,000円。原価差異等なし。
数値は単位を付けず、0以上の整数で入力します。
回答は学習履歴には保存されません。未解答でも採点できます。
対象範囲の確認:日本商工会議所・2026年度適用の出題区分表。2026年10月31日確認。例題・練習問題は簿記ラボ作成の独自教材です。例題は基本処理を確かめるために条件を絞ったもので、試験の全論点を網羅するものではありません。