
【簿記2級】連結会計で売掛金・買掛金を消すのはなぜ?相殺消去の考え方

連結会計では親会社と子会社を一つのグループとして扱うため、グループ内部だけの「受け取る権利」と「支払う義務」を相殺消去します。親会社の子会社に対する売掛金と、子会社の親会社に対する買掛金がその例です。連結上の調整なので、各社の帳簿から請求や支払の記録を取り消すわけではありません。
お店には残っているのに、なぜ消すの?
こぐま商会が親会社、森の販売会社がその連結子会社という場面です。月末、こぐまさんは二つの会社の残高一覧を並べました。
こぐまさん:「こちらには売掛金、向こうには買掛金があるけれど、どちらも正しい記録だよね。」
ペンリー:「うん、どちらの帳簿も正しいよ。ここでは二社を一つのグループとして考えてみよう。」
こぐまさん:「グループ全体から見ると、自分の仲間から受け取り、自分の仲間へ払う関係なんだね。」
ペンリー:「そう。グループ内の分を除いて、外の相手にいくら請求し、いくら払うのかを表すんだ。」
相殺消去の基本は、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第31項で確認できます。ここでは債権・債務に絞り、利息、貸倒引当金、税効果はない例で考えます。
【こぐまTips:個別の帳簿と連結の調整は別】
| 見る立場 | 売掛金・買掛金の扱い | 目的 |
|---|---|---|
| 親会社の個別帳簿 | 子会社への売掛金を残す | 請求・回収を管理する |
| 子会社の個別帳簿 | 親会社への買掛金を残す | 支払を管理する |
| 連結財務諸表 | 対応する内部債権・債務を消去する | グループ外部との関係を示す |
こぐまさん:「連結で消したから、代金を請求しなくてよくなるわけではないね。」
ペンリー:「うん、請求や支払の約束は残るよ。連結で消すのは、グループ全体の集計をするときだけなんだ。」
連結修正仕訳は、連結の集計を整えるための仕訳です。実際の支払や債務免除ではないので、通常の入出金の仕訳とは分けて考えましょう。
例1:未回収の売掛金30,000円を相殺消去する
決算時点で、親会社に子会社向けの売掛金30,000円、子会社に親会社向けの買掛金30,000円が残っています。双方の記録は一致しており、全額がグループ内のものです。
こぐまさん:「受け取る側の売掛金と、払う側の買掛金は、同じ30,000円だよ。」
ペンリー:「売掛金も買掛金も、残っている30,000円をそれぞれ減らせばいいね。」
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 30,000 | 売掛金 | 30,000 |
売掛金は資産なので、減らすときは貸方。買掛金は負債なので、減らすときは借方です。「売掛金を消す」とだけ覚えず、二つの残高を、それぞれ減らす向きを確認します。
こぐまさん:「売掛金も買掛金もゼロにしたいから、増えるときと逆に置くんだね。」
なお、グループ外の取引先に対する売掛金は残します。相手が誰なのかを確認せず、売掛金勘定の全額を消すことはできません。
例2:一部を支払っていたら、消す金額はいくら?
別のケースです。親会社は子会社へ30,000円を掛け販売しましたが、決算前に23,000円を回収しています。入金・支払は双方とも記帳済みで、決算時点の売掛金・買掛金は7,000円で一致しています。
こぐまさん:「最初の取引額は30,000円だけれど、まだ残っているのは7,000円だね。」
ペンリー:「そう、消すのは今残っている7,000円だね。最初の30,000円とは分けて考えよう。」
| 確認する金額 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 掛け販売した金額 | 問題文の取引額 | 30,000円 |
| 回収・支払済み | 双方で記帳済み | 23,000円 |
| 決算時点の内部残高 | 30,000−23,000 | 7,000円 |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 7,000 | 売掛金 | 7,000 |
こぐまさん:「30,000円をもう一度消すと、残っていない分まで減らしてしまうね。」
ここで7,000円になるのは、売掛金・買掛金の消去額です。売上・仕入の消去額まで、未回収額になるわけではありません。この例の内部売上・仕入は、ほかの条件がなければ取引額30,000円を別途消去します。残高の話と、当期の売上・仕入の話を分けましょう。
仕訳クイズ:お金の貸し借りでも同じ?
ペンリー:「お金を貸している場合も、同じように考えられるかな?」
こぐまさん:「科目名が変わっても、内部の権利と義務を減らせばよさそうだね。」
親会社に子会社向けの貸付金40,000円、子会社に親会社からの借入金40,000円が残っています。利息はなく、残高は一致しています。連結修正仕訳を考えましょう。
解答と考え方
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借入金 | 40,000 | 貸付金 | 40,000 |
負債の借入金を借方、資産の貸付金を貸方に置いて、それぞれ減らします。実際に現金を返した仕訳ではないので、現金や普通預金は登場しません。
相殺消去で迷ったら、この順番
こぐまさん:「まず相手がグループ内か、その次に決算時点でいくら残っているか、だね。」
ペンリー:「うん。両社の残高が違ったら、入出金の記録漏れなどがないか、資料を見直してみよう。」
こぐまさん:「金額の確認と、減らす向きの確認を分けて進められそうだよ。」
- 消去するのは、グループ内部の相手に対する債権・債務。
- 資産は貸方、負債は借方に置いて残高を減らす。
- 連結上の調整と、各社の請求・支払管理は別に考える。
連結の全体像は連結会計・資本連結の基本解説へ。売上・仕入や未販売の商品に含まれる利益の調整は、内部取引と未実現利益の解説・確認問題で続けて学べます。

こぐま商会のまじめでやさしい店主。経理はまだ勉強中。
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