
【こぐま商会の期首メモ】
新しい会計期間が始まりました。こぐまさんは、前期末に入れた決算整理仕訳を見ながら、期首に逆仕訳するものを確認しています。
期首再振替仕訳では、前払費用・未払費用・未収収益・前受収益などの経過勘定をもとに戻します。一方で、繰越商品は期首に仕入へ戻す再振替仕訳をしません。繰越商品は、期末時点で残っている商品の在庫を表す資産であり、新しい期でもその在庫として残っているからです。
こぐまさん:「前払費用は期首に戻すのに、繰越商品は戻さないの?」
ミーヤ:「どっちも前の期末に出てきた科目なのに、扱いが違うんだね。」
ペンリー:「目的が違う。経過勘定は期間のズレを直すため、繰越商品は在庫を表すために残す。」
この記事では、簿記3級で迷いやすい「期首再振替仕訳」と「繰越商品」の違いを整理します。
【こぐまTips:3秒で見分ける】
期首に再振替するか迷ったら、「期中の通常処理に戻したい仮の調整か」を見ます。
- 前払費用・未払費用など: 期中の費用処理に戻すため、期首に再振替する
- 貯蔵品: 前期末に未使用分を資産にしたものを、期首に費用へ戻すことがある
- 繰越商品: 在庫という資産そのものなので、期首に仕入へ戻さない
こぐまさん:「繰越商品は“戻すもの”じゃなくて、“残っているもの”なんだね。」
ペンリー:「そう。期首に消すと、在庫の資産が帳簿から見えなくなる。」
| 項目 | 期首再振替するか | 理由 |
|---|---|---|
| 前払費用 | する | 期中の費用処理に戻すため |
| 未払費用 | する | 支払時の処理と重ならないようにするため |
| 未収収益 | する | 入金時の処理と重ならないようにするため |
| 前受収益 | する | 収益計上のタイミングを整えるため |
| 繰越商品 | しない | 期首時点で残っている在庫を表す資産だから |
経過勘定は「期間のズレ」を直している
前払費用や未払費用は、費用や収益を正しい期間に対応させるために使います。たとえば、前期末に翌期分の保険料を前払費用へ振り替えた場合、翌期になったら通常の費用処理へ戻す必要があります。
例1: 前払費用を期首に再振替する
前期末に、翌期分の保険料 12,000円を前払費用に振り替えていました。
前期末の決算整理仕訳:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 前払費用 | 12,000 | 保険料 | 12,000 |
翌期首の再振替仕訳:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 保険料 | 12,000 | 前払費用 | 12,000 |
この再振替によって、翌期の期中処理をいつも通り進めやすくします。
繰越商品は「在庫」を表している
繰越商品は、期末に残っている商品を資産として表す勘定科目です。新しい期が始まっても、その商品は消えたわけではありません。店の棚や倉庫に残っている商品として、引き続き資産です。
ミーヤ:「じゃあ、期首に仕入へ戻したらどうなるの?」
ペンリー:「帳簿上、在庫という資産が見えにくくなる。だから期末の売上原価計算まで繰越商品として持つ。」
例2: 繰越商品は期首に戻さない
前期末に、期末商品 45,000円を繰越商品として処理しました。
前期末の決算整理仕訳:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 繰越商品 | 45,000 | 仕入 | 45,000 |
翌期首には、この仕訳を逆にしません。繰越商品 45,000円は、新しい期の期首商品として残ります。
繰越商品を仕入に振り替えるのはいつ?
繰越商品を仕入に振り替えるのは、期首ではなく、通常は決算整理で売上原価を計算するときです。
決算整理では、期首商品を仕入へ入れ、期末商品を繰越商品へ戻します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 45,000 | 繰越商品 | 45,000 |
| 繰越商品 | 52,000 | 仕入 | 52,000 |
1行目で、期首商品を当期に売れた可能性のある商品として仕入に含めます。2行目で、期末に残った商品を売れていない在庫として仕入から外します。
この流れは、売上原価の記事や繰越商品の基本記事でも確認できます。
よくある間違い
決算整理仕訳をすべて期首に逆仕訳すると思ってしまう
決算整理仕訳のすべてを期首に逆仕訳するわけではありません。期首再振替が必要なのは、主に期間のズレを翌期の通常処理につなげるものです。
繰越商品を消さないと気持ち悪いと感じる
繰越商品は、前期末に残っていた在庫です。期首に存在している資産なので、帳簿に残しておく処理が正しいです。
仕入勘定だけを見て在庫管理をしようとする
三分法では、期中の仕入勘定は主に当期の仕入高を表します。在庫の最終調整は決算整理で行います。
仕訳クイズ
こぐまさん:「期首に戻すものと戻さないものを分けてみよう。」
ペンリー:「では、目的から判断しよう。」
Q1. 前期末に、翌期分の家賃 18,000円を前払費用として処理していた。翌期首の再振替仕訳は?
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 18,000 | 前払費用 | 18,000 |
Q2. 前期末に、期末商品 60,000円を繰越商品として処理していた。翌期首に仕入へ戻す仕訳は必要か?
必要ありません。繰越商品は期首時点の在庫を表す資産なので、そのまま残します。
【エピローグ】
期首メモの横に、こぐまさんは「戻すのは期間調整、残すのは在庫」と書きました。
ミーヤ:「前払費用は戻す。繰越商品は残す。理由が違うから処理も違うんだね!」
こぐまさん:「期首に何でも逆仕訳するわけじゃない、と覚えておきたいね。」
ペンリー:「勘定科目の目的を確認すると、処理のタイミングも判断しやすくなる。」
まとめ
こぐまさん:「今日のポイントは、期首再振替の目的を先に見ることだね。」
- 期首再振替仕訳は、主に経過勘定などの期間調整を翌期の通常処理へ戻すために行う
- 繰越商品は期首時点で残っている在庫を表す資産なので、期首に仕入へ戻さない
- 繰越商品を仕入に振り替えるのは、売上原価を計算する決算整理の場面
- 迷ったら「期間のズレを戻す処理か、在庫そのものを表す科目か」を確認する

こぐま商会のまじめでやさしい店主。経理はまだ勉強中。






