
【簿記3級・第2問】T勘定の書き方|仕訳から相手科目・繰越・損益振替まで

簿記3級のT勘定は、仕訳の借方・貸方を各勘定の同じ側へ写し、その欄には仕訳の相手科目を書くと解けます。資産や負債の残高は次期へ繰り越し、売上や費用は決算時に損益へ振り替えます。第2問で迷いやすいこの一連の手順を、こぐま商会の帳簿で追ってみましょう。
閉店後、こぐまさんは売掛金の仕訳を元帳へ転記していました。仕訳の科目も金額も合っているのに、T勘定の「摘要」に何を書くかで手が止まります。
こぐまさん:「売掛金が増えたことは分かる。でも売掛金の欄に『売掛金』と書いたら、何の取引か分からないね。」
ペンリー:「その欄には、同じ仕訳の反対側にある科目を書こう。どの取引で動いたかが残るよ。」
ミーヤ:「じゃあ、左右は仕訳どおりで、科目名だけ相手を見るの?」
こぐまさん:「まず仕訳を決めてから、一つの勘定ずつ確認しよう。」
【こぐまTips:T勘定とは?】
T勘定は、一つの勘定科目について増減を借方(左)と貸方(右)に分けて記録する形です。たとえば「売掛金勘定」には売掛金の動きだけを集めます。左右は仕訳と同じで、増加が必ず左になるわけではありません。
| 見る場所 | 何を書くか |
|---|---|
| T勘定の見出し | 記録する勘定科目 |
| 借方・貸方 | 仕訳でその科目が置かれた側 |
| 摘要・相手科目 | 同じ仕訳の相手側の科目 |
| 金額 | その科目に対応する仕訳の金額 |
ミーヤ:「見出しが『売掛金』なら、欄の中には売掛金をもう一回書かないんだね。」
ペンリー:「そう。相手が売上なのか現金なのかを書けば、増減の理由を追える。」
第2問では、仕訳 → 勘定を一つ選ぶ → 同じ側へ金額と相手科目を転記の順で考えると、左右を取り違えにくくなります。
掛け売りから回収まで、売掛金勘定を埋める
こぐま商会は4月3日に商品60,000円を掛けで販売し、4月20日にそのうち20,000円を現金で回収しました。まずは取引ごとに仕訳を作ります。
こぐまさん:「売った日と回収した日を分ければ、売掛金の残りも追えるね。」
ペンリー:「売った日に60,000円増え、回収した日に20,000円減るよ。」
4月3日、掛け売りの仕訳です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 60,000 | 売上 | 60,000 |
4月20日、現金回収の仕訳です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 20,000 | 売掛金 | 20,000 |
売掛金は4月3日の仕訳では借方、4月20日の仕訳では貸方にあります。したがって売掛金勘定は次の形です。
| 売掛金勘定・借方 | 金額 | 売掛金勘定・貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 4/3 売上 | 60,000 | 4/20 現金 | 20,000 |
ミーヤ:「4月3日の売掛金勘定には、相手の『売上』を書くんだ!」
こぐまさん:「回収では売掛金が貸方で、その相手は現金。残りは40,000円だね。」
なお、売上勘定も記入するなら、4月3日の貸方に相手科目「売掛金」60,000円を書きます。一つの仕訳から、関係する各勘定へそれぞれ転記するのが元帳の基本です。
次期繰越と前期繰越は、どちら側に書く?
年度末にも売掛金40,000円を回収していなければ、その残高は翌期へ持ち越します。売掛金の借方合計60,000円に合わせるため、当期末の「次期繰越」は貸方に書きます。翌期首には同じ残高を、本来の残高側である借方に「前期繰越」として記入します。
| 当期の売掛金・借方 | 金額 | 当期の売掛金・貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 4/3 売上 | 60,000 | 4/20 現金 | 20,000 |
| 3/31 次期繰越 | 40,000 | ||
| 合計 | 60,000 | 合計 | 60,000 |
翌期の売掛金勘定は、借方に「4/1 前期繰越 40,000円」から始まります。次期繰越は当期の左右を合わせるため反対側、前期繰越は翌期の残高側です。
こぐまさん:「貸方の『次期繰越』は、売掛金が消えたという意味ではないんだね。」
ペンリー:「そのとおり。翌期の借方に40,000円を引き継いでいる。」
売上・費用のT勘定は損益へ振り替える
売掛金のような資産は残高を翌期へ繰り越します。一方、当期の売上や費用は、その期の利益を計算するため、決算時に損益勘定へ振り替えます。この例では、ほかに売上がなければ、売上勘定の貸方残高60,000円を借方から閉じます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 60,000 | 損益 | 60,000 |
| 売上勘定・借方 | 金額 | 売上勘定・貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 3/31 損益 | 60,000 | 4/3 売掛金 | 60,000 |
もし4月22日に商品の発送費3,000円を現金で払っていたら、費用の仕訳は次のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 発送費 | 3,000 | 現金 | 3,000 |
決算時には発送費の借方残高3,000円を、貸方から閉じます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 3,000 | 発送費 | 3,000 |
| 発送費勘定・借方 | 金額 | 発送費勘定・貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 4/22 現金 | 3,000 | 3/31 損益 | 3,000 |
ミーヤ:「売上は借方に損益、費用は貸方に損益。向きが逆だね。」
ペンリー:「元の残高を消す側に『損益』を書くからだよ。」
| 勘定の例 | 通常の残高側 | 決算時の処理 |
|---|---|---|
| 売掛金などの資産 | 借方 | 貸方に次期繰越、翌期の借方に前期繰越 |
| 売上などの収益 | 貸方 | 借方に損益を書いて閉じる |
| 発送費などの費用 | 借方 | 貸方に損益を書いて閉じる |
こぐま商会のT勘定クイズ
5月2日、こぐま商会は商品50,000円を販売し、20,000円を現金で受け取り、残りは掛けとしました。現金勘定・売掛金勘定には、それぞれどちら側に何を書きますか。
こぐまさん:「50,000円を、受け取った20,000円と掛けの30,000円に分けよう。」
ミーヤ:「二つの勘定の相手科目は、どちらも売上かな?」
第2問の勘定記入では、相手科目ごとの動きが分かるように二つの仕訳に分けて考えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 20,000 | 売上 | 20,000 |
| 売掛金 | 30,000 | 売上 | 30,000 |
現金勘定の借方に「売上 20,000円」、売掛金勘定の借方に「売上 30,000円」を記入します。売上勘定の貸方には、相手科目「現金 20,000円」と「売掛金 30,000円」を二行に分けて書きます。
ペンリー:「売上の合計は50,000円でも、勘定には相手ごとの金額が分かるように書こう。」
一つの複合仕訳にまとめる帳簿では、売上勘定の摘要に「諸口」と記す場合もあります。試験では指定された記入欄と相手科目の選択肢を優先してください。相手科目を二行で答える形式は、問題道場の第2問⑰でも練習できます。
帳簿を閉じる前の確認
T勘定を埋めたら、①仕訳と同じ側か、②相手科目を書いたか、③資産・負債の繰越と収益・費用の損益振替を混ぜていないか、の順で確かめます。支払利息の決算整理と翌期の再振替まで追う例は、借入金と支払利息のT勘定で確認できます。
エピローグ
こぐまさん:「仕訳を起点にすると、T勘定の左右も、繰越の意味も確認しやすいね。」
ミーヤ:「次は時間を計って解いてみたい!」
まとめ
- 仕訳にある勘定を、同じ借方・貸方へ転記し、その欄には相手科目を書く。
- 売掛金などの残高は次期へ繰り越し、売上や費用は損益へ振り替える。
- 複合仕訳の摘要は、問題の指定や記帳形式を確認する。
仕組みがつかめたら、問題道場の第2問でT勘定のセットを解いてみましょう。

こぐま商会の帳簿を一緒に整理する、ロジカルで落ち着いた会計の先生。
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