
【こぐま商会の訂正メモ】
月末のこぐま商会。こぐまさんが仕訳帳を見直していると、売上や仕入の記録にいくつかの書き間違いが見つかりました。
訂正仕訳は、誤った仕訳を帳簿から消して、本来の正しい仕訳に直すための仕訳です。基本は 「誤った仕訳の逆仕訳」と「正しい仕訳」を合わせて、同じ勘定どうしを相殺します 。差額だけになることもあれば、貸借を逆にしていた場合のように金額が2倍になることもあります。
こぐまさん:「逆仕訳を書いて、正しい仕訳も書いて、さらに合算する。この流れが少し不思議なんだ。」
ミーヤ:「わかる! もう逆仕訳で消したなら、それで終わりじゃないの?」
ペンリー:「帳簿に入れるのは、最終的に必要な1本だけだ。逆仕訳と正しい仕訳は、その1本を作るための下書きだ。」
この記事では、簿記3級で迷いやすい訂正仕訳の考え方を、こぐま商会の例で整理します。
【こぐまTips:訂正仕訳は3秒でこう考える】
訂正仕訳で迷ったら、次の順で見ます。
- すでに帳簿に入っている誤った仕訳を書く
- それを消すための逆仕訳を書く
- 本来あるべき正しい仕訳を書く
- 逆仕訳と正しい仕訳をまとめ、同じ科目を相殺する
こぐまさん:「誤った仕訳そのものと、逆仕訳は帳簿に二重で入れるわけじゃないんだね。」
ペンリー:「そう。訂正仕訳として実際に入れるのは、まとめたあとの1本だ。」
| 手順 | 役割 | 帳簿にそのまま入れるか |
|---|---|---|
| 誤った仕訳 | 何がすでに入っているか確認する | すでに入っている |
| 逆仕訳 | 誤った仕訳を打ち消す | 下書きとして考える |
| 正しい仕訳 | 本来の状態にする | 下書きとして考える |
| 訂正仕訳 | 逆仕訳と正しい仕訳をまとめたもの | 実際に追加で入れる |
例1: 金額を少なく仕訳していた場合
こぐま商会は、販売用の商品 48,000円を掛けで仕入れました。しかし、誤って 40,000円として仕訳していました。
誤った仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 40,000 | 買掛金 | 40,000 |
正しい仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 48,000 | 買掛金 | 48,000 |
この場合、仕入も買掛金も 8,000円ずつ足りません。したがって訂正仕訳は差額だけです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 8,000 | 買掛金 | 8,000 |
ミーヤ:「これは足りない分だけ追加すればいいんだね!」
ペンリー:「そう。誤った仕訳と正しい仕訳の差だけを入れる。」
例2: 借方と貸方を逆にしていた場合
こぐま商会は、商品 30,000円を掛けで販売しました。本来は売掛金が増えて、売上が発生します。しかし、誤って借方と貸方を逆にしていました。
誤った仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 30,000 | 売掛金 | 30,000 |
誤った仕訳を消す逆仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 30,000 | 売上 | 30,000 |
正しい仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 30,000 | 売上 | 30,000 |
逆仕訳と正しい仕訳が同じ形になりました。だから合計すると、訂正仕訳は 60,000円になります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 60,000 | 売上 | 60,000 |
ここで「売上は30,000円なのに、なぜ60,000円になるのか」と迷いやすくなります。理由は、30,000円の正しい仕訳を入れるだけでは、すでに入っている逆向きの誤りが残るからです。
こぐまさん:「マイナス30,000円の状態から、プラス30,000円に戻すから、動かす幅は60,000円なんだね。」
ペンリー:「その考え方でいい。2倍になるのは、売上が2倍になったからではなく、逆向きの誤りを正しい向きまで戻すからだ。」
例3: 現金が借方に出てくる場合
訂正仕訳では、実際には現金を受け取っていないのに、借方に現金が出ることがあります。これは「現金が増えた」のではなく、誤って多く減らしていた現金を帳簿上で戻しているためです。
こぐま商会は、商品 50,000円を仕入れ、代金のうち 20,000円を現金で支払い、残額は掛けとしました。しかし、誤って現金支払いを 35,000円、買掛金を 15,000円としていました。
誤った仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 50,000 | 現金 | 35,000 |
| 買掛金 | 15,000 |
正しい仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 50,000 | 現金 | 20,000 |
| 買掛金 | 30,000 |
仕入はどちらも 50,000円で合っています。違うのは貸方の内訳です。
| 科目 | 誤った金額 | 正しい金額 | 差 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 35,000減らした | 20,000減らす | 15,000減らしすぎ |
| 買掛金 | 15,000増やした | 30,000増やす | 15,000足りない |
現金を減らしすぎているので、訂正では借方に現金を置いて、減りすぎた分を戻します。同時に、足りない買掛金を貸方に追加します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 15,000 | 買掛金 | 15,000 |
ミーヤ:「借方に現金があるけど、レジにお金が入ってきた話じゃないんだ。」
ペンリー:「帳簿上で減らしすぎた現金を戻しているだけだ。」
よくある間違い
逆仕訳をした時点で終わりだと思ってしまう
逆仕訳は、誤った仕訳を消す処理です。消しただけでは、まだ正しい仕訳が入っていません。だから、正しい仕訳まで考える必要があります。
正しい仕訳だけを追加してしまう
すでに誤った仕訳が帳簿に入っているなら、正しい仕訳を追加するだけでは誤りが残ります。特に貸借を逆にしている場合は、正しい仕訳だけを入れてもゼロに戻るだけで、正しい残高になりません。
仕入や売上が出てこないと不安になる
仕入や売上がすでに正しい金額で入っている場合、訂正仕訳には出てこないことがあります。訂正仕訳は「間違っている部分だけ」を直すための仕訳です。
こぐまさん:「全部の取引をもう一度書くのではなく、金額や科目が違っているところだけ直すんだね。」
ペンリー:「その通り。」
仕訳クイズ
ミーヤ:「今なら、訂正仕訳を作る流れが少し分かってきたかも!」
ペンリー:「では、差額で直す問題をひとつ確認しよう。」
Q. こぐま商会は、商品 72,000円を掛けで仕入れたが、誤って 27,000円として仕訳していた。訂正仕訳を答えなさい。
誤った仕訳:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 27,000 | 買掛金 | 27,000 |
正しい仕訳:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 72,000 | 買掛金 | 72,000 |
訂正仕訳:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 45,000 | 買掛金 | 45,000 |
仕入も買掛金も 45,000円足りないため、差額だけを追加します。
【エピローグ】
訂正メモを整理し終えると、こぐまさんは仕訳帳の横に「消す、入れる、まとめる」と書きました。
こぐまさん:「訂正仕訳は、間違いを責めるためじゃなくて、帳簿を正しい姿に戻すための仕訳なんだね。」
ミーヤ:「2倍になるときも、びっくりしなくてよさそう!」
ペンリー:「金額だけを見ず、どの科目が増えすぎているか、減りすぎているかを確認するといい。」
仕訳の基本や勘定科目を横断して確認したい場合は、勘定科目一覧も使えます。帳簿上の現金と実際の現金が合わない問題は、現金過不足の記事もあわせて確認すると整理しやすくなります。
まとめ
こぐまさん:「今日のポイントは、訂正仕訳を“下書き”と“実際に入れる仕訳”に分けて見ることだね。」
- 訂正仕訳は、誤った仕訳を消して正しい仕訳に直すための仕訳
- 逆仕訳と正しい仕訳は、訂正仕訳を作るための下書き
- 金額不足なら、差額だけを追加することが多い
- 貸借を逆にしていた場合は、訂正額が2倍になることがある
- 現金が借方に出ても、実際に入金したとは限らず、帳簿上の減らしすぎを戻している場合がある

こぐま商会のまじめでやさしい店主。経理はまだ勉強中。






